【問題点】
・現行の法律では、一般道を200キロで走って人を死なせても、
「制御」不能でない直線道路なら危険運転で裁けない。
・法務省検討会が初会合、要件や罰則見直し議論を始めた。
一般道を194キロで走行衝突し、被害者を死亡させた加害者は「過失運転」で裁かれた
驚愕の事実。現行の法律では、たとえ一般道を200キロで走行しても、直線道路で安定して
走行していたのだから、「制御困難とは言えない」という司法判断が相次いでいます。

ひどい話だね
【三重県津市の事例】
2018年、三重県津市の国道で、飲食店から国道に出てきたタクシーの側面に、雨に濡れた路面
にもかかわらず、146㎞/hもの猛スピードで走行してきた当時IT企業社長のベンツが激突し、
乗員乗客4名が死亡、1人が大けがを負った事故。

「日本の司法は大丈夫か! 雨で濡れた夜の国道を時速146キロで暴走した挙げ句、
タクシーの側面に衝突し、4人を死亡させたこの事故が危険運転致死傷罪で裁かれず、
過失運転致死傷罪の上限7年の甘々判決。
にもかかわらず元IT社長という被告の男は判決を不服として控訴したとの事。
自分のしたことが判っているだろうか?
遺族は到底納得いきません。今度はまともな判決がでますように。
僕が自身のSNSにこの怒りの投稿をしたのは2020年6月18日の事でした。
この悲惨な事故が、「危険運転」ではなく「過失運転」で裁かれ、タクシーにたまたま
乗って31歳で亡くなった被害者と、そのご家族に想いをはせた結果、怒りにまかせて
投稿したものです。
【危険運転致死傷罪が生まれた背景】
以下、昨年放送されたNHKクローズアップ現代 取材ノートから一部引用します。
危険運転致死傷罪 遺族が見つめた24年 - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス
(以下、一部加筆引用した部分)
「危険運転致死傷罪」きっかけになった事故は、1999年11月28日 日曜日の午後、
東京都の東名高速道路で、飲酒運転のトラックが家族4人の乗った乗用車に追突し、
乗用車は炎上、後部座席にいた幼い姉妹が亡くなった悲惨な事故でした。
(大きく高知○○と書かれたトラックが全国放送されました)
運転手は、直前まで飲酒して酩酊状態だったそうで、もはや論外ですが、当時は、どんなに
悪質なドライバーでも、厳罰に処する法律が無く、「業務上過失致死傷」などの罪で
懲役4年の判決が確定しました。
判決に愕然としたご両親は、悪質な運転を取り締まる法律の整備を求める署名活動に
取り組み、事故から2年後の2001年11月28日「危険運転致死傷罪」を新設する法案が
成立。とあります。
ご夫婦の努力により、法整備は出来ましたが、その後も悪質な事故はあとをたたず、
都度、処罰の対象が追加されていきました。東名高速のあおり運転による死亡事故などです。
(引用部分ここまで)
危険運転致死傷罪には、(第二条) に飲酒運転など、8つの運転行為が該当するとありますが、なかでも
今回、早急に法律の見直しが必要だと思うのは、2の制御困難運転致死傷罪
進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為です。
冒頭の146キロでタクシーの側面に衝突した事故のほかにも、その判決に首をかしげる事案が相次いでいます。
【大分市の事例】
・大分市の国道で、当時19歳の少年が運転するBMWが194キロで、交差点を右折していた
被害者(当時50歳)の小型乗用車に激突し、被害者が亡くなった事故。
片側3車線の通称「40メートル道路」は、まるで高速道路のような広さで、僕も出張で
大分に行ったときは、この道路をよく利用していました。正直、法定速度以上
(社会通念上常識の範囲)で走っていましたから、ドライバーが飛ばしたくなる心理も
一定理解できます。
しかし、この少年の供述では、「何キロ出るか試したかった」とのことで、言語道断、
前述のIT社長のベンツといい、この少年のBMWといい、一部速度無制限の
アウトバーンで、200キロで巡行できる性能と、衝突時の安全性能も高い車ですから、
超高速度でも安定して走行しており、本人は助かりました。

この事故に関して、一般的な「右直事故」(=うちょくじこ、右折する車両と、直進車両が
衝突する事故形態で右折する側の過失割合が大きい)を引き合いに出して、被害者に過失があったかのような意見をネットで見ましたが、それは通常の速度域での話ではないでしょうか?
よく考えてみてください。その異常な速度を。
僕も、あの道路を被害者と同じように、右折した経験が何度もありますが、十分安全確認して右折していました。しかし、深夜、突然左から大谷翔平選手の直球以上のスピードで車が飛んできたら、見える間もないですよ、そこで同じ状況で右折していたら、間違いなく僕も同じ事故で命を落としたことでしょう。
事故から1年5か月後に判決が出たそうですが、当初の判決では、危険運転致死傷罪で裁かれず、直線道路で進路を外れずに走行していた車は「運転が制御できていた」として、過失運転と判断されたとの事。遺族や支援者から「不注意の事故なわけない」と、声を上げたことから、より刑の重い危険運転致死傷罪に切り替えたとあります。異例の訴因変更でした。
時速194キロ交通死亡事故から3年、遺族「早く裁判を」 事前の争点整理続く - 大分のニュースなら 大分合同新聞プレミアムオンライン Gate (oita-press.co.jp)
より(一部加筆引用)
【宇都宮市の事例】
・宇都宮市の一般国道で、160キロで走行したクラウンが、スクーターに追突して当時63歳の男性が亡くなった事故
夫の命を奪った160キロの車は“危険運転”ではないのか「無念を晴らしたい」妻の思い (tv-asahi.co.jp)
(以下、一部加筆引用)

宇都宮地検から遺族である奥さんに電話があり「過失運転で起訴することになった」と、なぜ?法定速度60キロを100キロも超過しているのに・・・
理由は、「高速度でも、追突されるまでまっすぐ走れているので、運転を『制御』できているということになる。これは危険運転ではない」・・・
そこから、奥さんの活動は始まった。とあります。
つまり現行の法律では、国道をポルシェで250キロ出そうが、フェラーリで300キロ出そうが、直線を安定して走っていれば、制御不可能でなければ、たとえどんな事故を起こしても、過失運転までで、危険運転ではない。となっているのです。
もちろん、道路交通法では制限速度が設けられていますから、捕まれば罰金も減点もありはしますが、おかしいですよね。
司法裁判官は、法律に照らせば、その判決を出さざるをえない・・・のなら、
早急に法律を改正しなくてはいけません。裁判官は自分の家族を、そのような理不尽な事故で亡くしても同じ判決を出すのでしょうか。
ここで、この法律の一番問題と思うのは(※個人の感想です)、
危険運転致死傷罪(第二条) の2にある、「制御困難運転致死傷罪」です。
「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」が該当するとありますが、これ、すごく曖昧ですよね、だから制御さえできていれば「危険」ではないという判決が出てしまうと思います。
過失運転の量刑は最高7年、一方、危険運転は20年。大きな違いです。
遺族からは、法定速度の倍以上の速度を「危険運転」とする意見もあり、僕はそれくらいがいいと思います。何のための法定速度ですか?。
そもそも、○○に刃物の例えがあるように、自制心の無い一部の人間が、アクセルひと踏みで150キロなんて異常な速度が出ること自体ダメでしょう? 日本の道路では、東名高速の一部で120キロを除いて、高速道路でも100キロの速度規制されていますから、そんな高性能はそもそも不必要ですよね。

元トレーラー乗りの友人に聞いた話、昔の山陽道は大型トラックのサーキットと化していたそうで、スリップストリーム使って抜いたり抜かれたり、当然事故が多く、その結果、時速90キロ以上出なくする速度抑制装置(スピード抑制装置)の装備が義務付けられたそうです。
ソフト側(運転者)の制御ができないのなら、ハード側(車)の制御を義務付けたらどうでしょう?(またまた個人の意見です)例えば、120キロでリミッター作動とか・・・すみません、僕の個人的意見のリミッターが効かなくなりました。
【高知市の事例】
高知では、昨年1月、法定速度40キロの県道を125キロで暴走した乗用車が対向車に衝突した事故で、相手に右半身まひの後遺症を負わせた男が、県内初の高速度運転による危険運転致死傷罪で裁かれる判決が出ました。
125キロ危険運転に5年求刑 男「後続車から離れたかった」 高知地裁で初公判 | 高知新聞 (kochinews.co.jp)
弁護側は、飲酒運転では無かったことなどを理由に、情状酌量を求めています。
仮に執行猶予なし5年の懲役を受けたとしても、若い加害者には未来がありますが、被害者は、命こそ助かったものの後遺症が残ってしまいました。
加害者は、ライトがまぶしい後続車を振り切ろうとしたという身勝手な理由を述べているそうですが、普通に走っていただけなのに、カーブを曲がり切れない車にに突っ込まれた被害者が気の毒で仕方ありません。
【まとめ】
大分の事故のご遺族らが立ち上がったことで、政府も法改正の議論に入ったようで、本日の毎日新聞に「法務省検討会が初会合」要件や罰則見直し議論と報じていて、識者と呼ばれる人たちが意見を出し合っています。
スピードによる衝撃エネルギーは、速度が2倍で4倍、3倍で9倍と、大きくなると言われています。高速度でなければ助かっていたはずの、かけがえのない命。
どうか、不幸な被害者がこれ以上増えないような適切な法改正を強く望みます。
時々、飛ばしてしまう自分への自戒も含めて・・・
※この記事では、速度の表現を「○○キロ」としています。正確には「時速○○キロ」、「○○㎞/h」とするべきですが、わかりやすく表記しました。また、文中の写真はイメージの為に使用しているもので、本文とはなんら関係ありません。ご了承ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。