3日間苦しんだ挙句、自分で救急車呼びたくなるほどの腹痛からのER外来、緊急手術となった体験談。地獄を見た術前の苦しみと、入院生活の記録。腸閉塞の症状と、予防法、生活習慣の注意点など。
【腸閉塞の症状】
・お腹の膨満感、お腹いっぱい食べすぎてパンパンの感じがずっと続く。
・便意があるのにガスすら出ず、とにかく苦しい。
・吐き気があり、胃液のようなものを吐くが固形物は出ない。
【予防法】
・暴飲暴食を避ける。
・食事はよく噛んでゆっくり食べる。
・お酒はほどほどに、消化に悪い食べ物に注意する。
【生活習慣の注意点】
・脂っこい揚げ物ばかり食べない。(蓄積された内臓脂肪が腸を引っ付ける遠因)
・適度な運動をする。
・お酒は適量を、時々休肝日をもうける。
【入院生活の記録】時系列
8月6日(火)
夕食(ニラ豚)3人前ほどを、調子に乗ってビールと焼酎で流し込む
(暴飲暴食、これがトリガーとなる)
8月7日(水)
朝、少し膨満感と腹痛があるが、おにぎりを食べ、片道1時間かけて仕事へ向かう、腹痛があるが便は出ず、気分が悪い。
おにぎりががトドメをさしました
午後は、休みにして自宅で休むが、胸がむかむか、吐き気もする。夕方近くの内科に行き、受付で症状を話すが、専門医がいないので、専門医での受診を勧められる。帰りにドラッグストアでパンシロンを買って帰り服用する。相変わらず気分が悪い。便意はあるが、出ず苦しい。
8月8日(木)
腹痛・膨満感・吐き気もあるが、依頼されていた仕事をやらなければと、片道1時間かけて出勤したが無理があり、仕事を引き継ぎ家に引き返す。家の庭で胃液を嘔吐。その夜、腹痛がひどくなり、夜間対応している総合病院を受診するが、専門医がおらず、聴診器を当てた医師によると、胃も腸も動いている音がするので様子を見ましょうとなる。
8月9日(金)
7日以降、食欲も無く少し水を飲む。近所の消化器内科を受診。腸炎の可能性が高いとの事で点滴と薬を処方され帰宅、休養する。相変わらず膨満感と腹痛、吐き気あり。自覚症状から「腸閉塞」では?とネットで調べると、症状がピッタリ当てはまり、腸閉塞を確信する。
8月10日(土)
何も食べられず、死神みたいにベッドで横たわり、テレビを見て過ごすが、だんだん気分が悪く、腹痛もひどくなってくる。もう、自分で救急車を要請したいと思うほど苦しくなる。幸い家族が揃っていて、消防士で普段救急車に乗っている息子の運転で病院に行き、紹介状を書いてもらって救急病院に向かう。ER(救命外来エリア)で受診、造影剤投与からCT、緊急手術となる。
手術を待つ間に救急車が来て、脳血管疾患の急患が入り、トリアージで僕は後回しとなったようで、予定時間の2時間後に僕の手術となる。手術室に入ると、医療ドラマで見る風景で天井から複数の電球の照明灯が2基、なぜかポップな音楽が流れている。酸素を送られているマスクから麻酔が投与され、そこから意識が飛んだ。
終わりましたの声で目が覚める。手術後は、尿道から管で尿は自然滴下、鼻からはチューブで胃までつながっていて、胃液の行き来がチューブで見えて気持ちが悪い。腕は点滴で固定され、足は、エコノミークラス症候群で血栓ができるのを防ぐため固定され、断続的にエアーで揉まれている。2時間おきに看護師が血圧と体温を測定しにきてくれる。
8月11日(日)
身動き取れず、ただ天井を眺めてしんどい。足のマッサージは取れ、自由になる。理学療法士が足をマッサージしてくれ、点滴と各種チューブ・袋を吊ったまま、少しだけリハビリ開始。廊下を少しだけ歩くが相当だるい。
内臓脂肪で癒着して細くなっていた小腸同士を切り離しただけで、まだ、内容物が出たわけではないので、膨満感と、多少の腹痛はある。消化を良くし、腸の動きを活性化させる薬を点滴で連続投与されている。
8月12日(月)
栄養は点滴だけ。もう4~5日何も食べていないが、食欲は無い。イヤホンで小型テレビを見られるようになり、美味しそうな料理をみても食欲は出ない。便は出ないが少しガスが出始め、膨満感が少しやわらぐ。
8月13日(火)
尿道の管が取れる、医師と看護師でゆっくり抜くが、少し痛かった。入れられる時は相当痛いはずだが、幸い全身麻酔時で苦痛は無かった。これからは自分でトイレに行くしかない。歩くことは大丈夫だが、点滴を吊るポール、胃につながる鼻チューブ(イレウス)と袋を吊るした移動は不自由である。夜、少量の便が出た。まだほんの少し出ただけで、お腹のモヤモヤはすっきりしないけど、とにかくまったく出なく詰まっていたから少しでも便通があったことが凄く嬉しかった。
8月14日(水)
点滴は交換しながら色んな種類を投入される。ポタっ、ポタっ・・って滴るのと、看護師さんが注射で一気に入れるのもあるが、キューって一気に入れられるのは時々腕が痛かった。
8月15日(木)
念願の鼻チューブ(イレウス管)が取れる。抜くのも結構気持ち悪かった。様々な治療の中で、管を挿入する時が一番つらかった。医師も「相当きついですよ」と予告するほどゲボゲボもがいたけど、術前の全身麻酔時時に出来なかったのか?尿道は麻酔後に挿入したけど・・・おも湯(おかゆの固形無し)から食事が始まる。味がない。鯛味噌のチューブがあるが、あまり美味しくないので最初だけで残す。リンゴジュース、牛乳など液体ばかり。
8月16日(金)
点滴が全て終わった。おも湯からおかゆになる。ガスと便が出る、便は緑色でかなりの量が出た。同時にお腹のモヤモヤもかなりすっきりしてきた。リハビリでとにかく歩く量を増やす。
8月17日(土)
明け方かなり大量に宿便が出た。便通が良くなり、快食快便に近い平常状態になりつつある。入院して以来7日目でシャワー解禁、さっぱりして気持ちいい。
8月18日(日)
普通のご飯になり、美味しく食べられる。医師に週明けには退院できそうと告げられ喜ぶ。元気になると、暇になり、休憩室から本を借りてきて読んだり、テレビ見たりして過ごす。健康の大切さを痛感する。
8月19日(月)
ほぼ平常時に近い感じだが、歩くと疲れやすい。が、リハビリが大切なので歩く。寝る、歩く、寝るを繰り返す。昼間寝ているので夜中に眠れなくなる。明日はいよいよ退院となる。
8月20日(火)
朝、診断書の作成依頼、身の回りの片づけをして、午前11時頃退院。10日に緊急入院・手術から10日間の入院生活となった。
【入院・手術の総括】
4キロほど痩せてベスト体重(173センチ、66キロ)となり、健康意識が高まった(たぶん)ことが今回の入院で唯一良かったこと。悪かったのは、仕事を長期間休んだ事で、職場や取引先に迷惑をかけた事と、本来の収入のうち3割程度が損失となった事。
健康保険の傷病給付金で7割は補填され、手術・入院費用約100万円も、健康保険の高額医療費控除で9割補填され、10万円程度の出費(合計 約20万円の実費負担)となった。幸い民間保険会社2社の医療保険から30万円くらい入ったので10万円くらいは浮いたが二度と味わいたくない苦い経験になった。
【病気を経験した感想】
これまで病気らしい病気をしたことが無かったので、相当こたえました。年齢も還暦(60歳)になり、厄年(後厄)なので、やはり何かあったか、といった心境です。せっかく初孫が生まれて、初めて対面できる予定の日に、緊急手術となり、危うく孫の顔を見られなくなるところでした。年齢的に、これから様々な病気や困難な出来事が出てくるとは思いますが、生活習慣を改善し、健康寿命を末永く保ちたいより強く思うようになりました。
【健康で若い皆さんへ】
生活習慣病は、その言葉通り、生活習慣から発生すると言われています。今、健康だと「病気なんか他人事」、「自分に限って大丈夫」と思いがちです、僕もそうでした。人それぞれ持って生まれた運命というか、神がかった何かがあるような気がします。健康的な生活を心がけている人が病気になる場合もありますし、不摂生の限りを尽くしたような人が、まったく病気にならない事もあります。
それでも、病気にならない生活習慣は「やらないよりやったほうがいい」と僕は思います。適度な運動、規則正しい生活、栄養バランスのいい食事、飲酒は適量、喫煙はしないといった事です。「ま、少しくらいいいか」を積み重ねると、その先に病気のリスクは確実に高まります。
読んでくださった皆さんが病気になりませんように、お祈りして筆を置きます。
病気になりませんように
最後までお読み頂きありがとうございました。